古 民 家 再 生 プ ロ ジ ェ ク ト
■古民家再生プロジェクトの実例について
※古民家再生プロジェクトはNPO町なみ屋なみ研究所(前:たんばぐみ)にて行っておりました。
地域で建築に携わる者の役割として、市民と協働し町おこしなどの市民運動に関わることは欠かせない。以下の実例は、過去6年間丹波篠山において実践してきた「市民による古民家再生プロジェクト」の紹介である。
①きっかけ
2005年の6月に丹波篠山の城下町エリアで開催されたまち歩きイベントに参加中、空家になった民家を見て、「このままでは、近い内に解体される」と危機感を抱いた参加者(現コアメンバー)は、現在の民間市場原理では残らない貴重な資産(古民家)を後世に残す新しい社会システムが構築できないかと考えた。
公的助成制度に頼ると、タイミングが合わない・様々な制限が加わる・助成期間終了と共に、意識がフェードアウトすることなどから、民間資金と市民による古民家再生を目指した。
②活動の目的と手法
我々は、伝統的な街並みの保全を目指し、失われていく古民家を専門家の指導の下、市民と協働作業で改修し、町を愛し理解する人たちが、改修したものを購入または借り受けて住居や店舗に活用することを目的とするもので、改修した建物を売却かサブリースを行い、得た収益は次の古民家再生の原資として、運用される。
③手順
プロジェクトは、先ず専門家(建築士でヘリテージマネージャー)が調査を実施する。古民家の年代特定・評価・腐朽箇所・設備の有無・改変履歴などから、一番輝いた時代を想定して復原を目指し、耐震補強も計画に加えて修復費用を算出する。次に概算費用を基に、収支計画を行う。計画に基づきボランティアの作業量と費用対効果、ボランティアと指導者(プロの各種職人)の作業分担と指導者への依頼。ボランティアの募集は、ホームページによる広報と登録者への案内である。また、同時に建物所有者に対する協力依頼と啓蒙を実施する。
作業は月2回で、プロジェクトの工期は1年を目途とする。作業前には、講座を開き参加者が興味を引く話題を提供すると共に、作業の安全性を確保するために、プロから作業の手順・道具(特に電動工具)の使用方法などの手解きがある。実作業は、片付け・解体から始まるが、古民家に愛着を覚えるのは、この作業(片付けなど)を行うからであって、また最も経済効果を上げるのも、片付け・解体・清掃である。しかし人気のある作業は、大工と左官仕事でプロの裏技も伝授され、作業ボランティアのリピートに繋がっている。
④成果
景観を形成する古民家のファサードを整えることで、まちと古民家の魅力を高める。また、係わった人々が、町に親しみを覚え、篠山暮らしを羨ましく思い篠山への移住を望んで、叶えた人がいることが挙げられよう。さらに特筆すべきことは、以降のプロジェクトの根幹をなすようになった「to teyany(とぅ
てやに)」プロジェクトでの「町屋トラスト」だろう。所有者は無償で建物を提供し、篤志家は資金を出し、技術やアイデアを提供できる人は技を発揮し、労力を提供できる人は汗を流した。行政や自治会も支援を惜しまなかった。「ギャラリーカフェ」として開店してからも地域の支援を受け、町の拠点として役割を果たした。 ※to teyanyは、現在は閉店致しました。
※「丹波篠山 古民家を“めぐる”見聞帖」に、古民家再生の仕組みを作り動き始めた頃の話が詳しく掲載されています。
(2011.5.7 才本謙二)
竹 事 業
ひょうごヘリテージ機構 丹波地区・通称「H2Oたんば」が(平成19年(2007年)文化庁委嘱事業「NPOによる文化財建造物活用モデル事業」として、竹灯篭が灯る重伝建地区篠山を実施。
丹波篠山市(当時の篠山市)重要伝統的建造物群保存地区において、市民の手で環境物件である竹林を整備する仕組みをつくり、継続的に維持管理していくことを目的とし、重伝建地区西新町内約700㎡の竹林を間伐し、整備を行った。
また、伐採搬出した竹を用いて町屋宮建造物の新たな魅力の発見と付加したいと考え、竹灯篭つくりや竹民具つくりを行った。
事業開始から3〜4年継続し、活動を続けた。